こんにちは、元住吉の歯医者、よしだ・ファミリー・歯科です。

お子さんの歯並びや虫歯について、注意深く確認するようにしているという親御さんも多いかと思います。
では、上あごの発育についてはどうでしょうか。
顎顔面矯正は、上あごの正常な発育を促すことで、整ったかみ合わせや歯並びに導く治療法です。
お子さんがいつも口を開けて寝ている、風邪をひきやすい、いびきをかくといった症状がある場合には、顎顔面矯正が改善のきっかけになる可能性があります。

顎顔面矯正とは

顎顔面矯正は、歯並びだけでなく、あごの健全な成長を促すための矯正治療です。
通常の矯正では主にブラケットやワイヤーを用いて歯を動かしますが、顎顔面矯正では、固定式急速拡大装置と呼ばれる特殊な装置を使用して、あご全体の位置や形状を調整します。
この装置は、特に成長期の子どもに対して使用されることが多く、上下顎の幅を広げることで、歯列や舌が正しい場所に位置するよう口腔内のスペースを増やします。
結果として、口腔機能の向上や顔全体のバランスを整えることにもつながります。

上あごの成長不足によるリスク

上あごが十分に成長しないと、歯が生えそろうスペースが足りないために、歯並びやかみ合わせが悪化する恐れがあります。
歯並びやかみ合わせの悪化には、虫歯や歯周病になりやすくなったり、滑舌が悪くなったり、口臭が強くなったりといったさまざまなリスクがあるため、できるだけ早めに対処しておくことが大切です。

また、上あごの成長不足は鼻腔の発達にも影響しており、鼻腔の成長が不十分なことで口呼吸になるリスクもあります。
口呼吸には、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるリスクや歯並びや口臭悪化のリスクがあり、全身的な健康にも影響します。
そのほか、あごが小さいことにより呼吸が上手にできない場合、集中力の低下や睡眠時無呼吸症候群のリスクがあります。

顎顔面矯正が適しているケース

顎顔面矯正は、あごの成長不全や、過剰な成長による骨格の歪みがある場合に適しています。
例えば、あごが小さすぎて歯が並ぶスペースが足りない場合や、逆にあごが発達しすぎてかみ合わせが悪化している場合などは顎顔面矯正で改善が見込める可能性があります。
顎顔面矯正では、早期に骨格の問題を見極め、介入を行うことで自然な成長を促します。

顎顔面矯正のメリット

顎顔面矯正は、本来の自然な歯並びやかみ合わせを目指して行う治療法のため、成長期のお子さんにかかる負担が少ないことが大きな特長です。
通常の矯正ではブラケットやワイヤーを用いて歯を移動させるため、過度な力が歯にかかり後戻りのリスクがありますが、顎顔面矯正ではあごの成長を利用して骨の自然な拡大を促すため、後戻りのリスクが低いというメリットもあります。

また、顎顔面矯正は、歯並びの改善以外にも、さまざまな健康上のメリットがあります。
例えば、鼻詰まりや口呼吸など、呼吸器系の問題を緩和する副次的な作用があります。
これは、上顎や顔の構造を整えることで、鼻腔や気道を広げ、呼吸が楽になるためです。これにより、いびきの改善にもつながります。

加えて、装置は基本的に歯の内側に装着されるため、矯正治療を行っていることが見た目には目立たず、心理的な負担が少ないという特徴もあります。
特に、学校などで装置を気にせずに過ごせるという点は、お子さんにとって大きなメリットとなります。

顎顔面矯正のデメリット

顎顔面矯正では、治療開始直後の数日間に、装置を装着したことに伴う痛みや違和感を覚えることがよくあります。
この痛みは、装置の調整によって生じる圧力や歯の動きによるものです。
特に、初期段階では鼻の付け根や歯に痛みを伴うことがあり、慣れるまでに少し時間が必要になることがあります。
また、これにより一時的に食事が取りづらくなったり、話しているときに違和感を覚えたりする場合もあります。

加えて、顎顔面矯正は自由診療であるため、健康保険は適用されません。
50万円から60万円程度の費用がかかることが一般的ですが、追加で必要な処置や装置の変更などにより、費用が増加することも考慮に入れる必要があります。
ただし、お子さんの場合には基本的に医療費控除の対象となります。
家計の負担を抑えながらお子さんの健康をサポートするために、このような制度もうまく活用していきましょう。

顎顔面矯正の治療の流れ

顎顔面矯正を行う場合、まずはカウンセリングを行い、お子さんや親御さんの希望や不安を十分に伺います。その後、精密な検査を実施し、あごや顔面の骨格を詳細に分析します。この検査結果に基づいて個別の治療計画を立案し、治療方法が決定されます。

固定式急速拡大装置を装着した後は、定期的に調整を行いながらあごの拡大を進めます。
装置の装着期間は、半年から3年ほどと、お子さん一人ひとりのあごの発達状況や歯並びによって個人差があるのが特徴です。
また、装着期間が終わった後も、定期的にメンテナンスを行い、かみ合わせやあごの状態をチェックする必要があります。

顎顔面矯正の対象年齢

顎顔面矯正は、主に5歳から10歳くらいのお子さんを対象としています。
この年齢層は、あごや顔の骨がまだ成長過程にあり、矯正による結果が出やすく、矯正中の負担が少ない期間です。
逆に、成長期を過ぎると、骨の柔軟性や反応性が低下し、望ましい結果を得ることが難しくなる場合もあります。

顎顔面矯正の費用

顎顔面矯正は自由診療のため、費用は歯科医院によって異なりますが、一般的には50万円から60万円程度が目安です。
ただし、子どもの場合は医療費控除が適用されるケースがほとんどであり、税金の控除という形で経済的な負担を軽減することができます。
医療費控除は、年間の医療費が原則10万円を超える場合に、超えた分が課税対象から控除され、税金の一部が還付される制度です。

まとめ

顎顔面矯正は、上あごの健全な発達を促すことで、歯並びやかみ合わせを整える治療法です。
治療時の負担が少なく、顎顔面矯正をしておくことで、その後の本格的な矯正治療が不要となる場合も少なくありません。
お子さんの歯並びや口呼吸、ぽかん口などが気になる場合には小児矯正に対応している歯科医院でぜひ相談してみてください。