こあら通信 Vol.8
2023/11/26
心臓病と歯科治療
近年、日本人の3大主要死因ではがんや脳卒中などの脳血管疾患と並んで、心疾患が上げられています。人口の高齢化や食生活の西洋化にともない心臓に病気を持った患者さんが歯科治療を受ける機会は、これからも年を追って増えるものと思われます。今回は心臓の悪い方が歯科治療を受ける際の注意についてお話します。
まずなによりも大切なことは、自分は心臓が悪いということをはっきり歯科医に伝えることです。これは歯科医が患者さんの状態をよりよく知ろうと努力するきっかけになりますし、より適切な処置を選ぶことが可能となります。事前に内科の主治医と連絡を取り合い、病状をより正しく把握し安全な治療をすることも重要です。
心臓の悪い人のための一般的な配慮としては歯科治療に当ってなるべくストレスを与えないようにすることです。リラックスできる環境や時間帯を選び局所麻酔を適正かつ十分に用いて痛みをなるべく軽くして治療することが考えられます。この時に用いる局所麻酔の薬剤も症状に合わせて、いくつかの種類の中から選択することが必要です。
心臓病の種類や程度により注意事項にも若干の違いがあります。心不全の場合は症状が安定している、暖かい季節を選んで治療する方が望ましく、狭心症の場合は緊急時に備えてニトログリセリン製剤を準備しておくことが大切です。心筋梗塞の場合には発作が起こってからの経過期間により異なり、1年以内の場合には特に注意を要し、5年以上経過していれば一般的な配慮で十分であるとされています。心臓ペースメーカーを用いている方では高周波を利用した治療機器の使用を避ける等の注意が必要です。血を固まりにくくする薬を用いている方の抜歯など、出血を伴う処置で注意が必要な場合は、内科担当医と薬剤の休止期間やその可否について事前に相談し、指示を受けておくことが必要です。心臓弁膜症や中隔欠損の方では術前の抗生剤や抗菌剤の投与など、感染に対する対策が大切です。
比較的重い心臓病の方では必要最小限の応急的な歯科治療に制限されますが主治医とよく相談して、諦めたり恐れたりせずに積極的に歯科治療を受けることをお勧めします。
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