インプラント周囲炎とインプラント周囲粘膜炎はどう違う?原因や治療法・予防法を解説
2026/09/20
こんにちは、元住吉の歯医者、よしだ・ファミリー・歯科です。
インプラント治療後にセルフケアや定期検診を怠ると、「インプラント周囲粘膜炎」や「インプラント周囲炎」といった、インプラント周囲の組織に炎症が生じるリスクがあります。
今回は、2つの疾患の違いや原因、症状、治療法や予防法について解説します。
インプラント周囲組織について
天然歯の根は歯根膜と呼ばれる線維組織を介して顎骨と結合しており、この歯根膜が歯への力を吸収するクッションの役割を果たしています。
一方、インプラントはチタンが直接骨と結合する「オッセオインテグレーション」という仕組みで固定されており、歯根膜は存在しません。
このため炎症に対する感知・防御機能が天然歯より弱く、細菌感染が進行しやすいという特性を持っています。
また、インプラントの周囲ではインプラント周囲粘膜と呼ばれる軟組織が、インプラント体と口腔内環境を隔てるバリアとして機能しています。
天然歯の歯肉と似た構造を持っていますが、歯根膜がないため炎症が侵入したときの抵抗力が天然歯の歯周組織より弱い傾向があります。
インプラント周囲粘膜炎とは
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラントを取り囲む粘膜や歯肉に炎症が生じた状態です。
炎症はインプラント周囲の粘膜のみに限局しており、インプラントを支える顎骨には骨吸収は起きていません。
天然歯の「歯肉炎」に相当する状態であり、治療とケアによって改善が期待できる段階です。
インプラント周囲粘膜炎の主な症状は、インプラント周囲の歯肉の腫れと出血です。
歯肉が赤みを帯びて腫れている、歯磨きのときに血が出るといった症状が見られた場合は、インプラント周囲粘膜炎を疑う必要があります。
インプラント周囲炎とは
インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の粘膜炎症に加えて、インプラントを支える顎骨の吸収が生じている、より進行した炎症性疾患です。
天然歯の歯周炎(歯周病)に相当する状態であり、骨吸収が進行すると、最終的にはインプラントがぐらつき、撤去せざるを得ない状態になります。
インプラント周囲炎では、粘膜炎と同様の腫れや出血に加えて、膿や深い歯周ポケットの形成、骨吸収に伴うインプラントの動揺などの症状が現れます。
膿が出ている場合は感染が深部まで広がっているサインであり、速やかな対処が必要です。
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の違い
炎症の範囲と可逆性
インプラント周囲粘膜炎は軟組織のみの炎症であり、骨吸収を伴わないため治療やケアにより改善が見込めます。一方、インプラント周囲炎は粘膜炎症に加えて骨吸収が起きており、一度吸収された骨は自然には回復しません。
症状の重さと緊急性
インプラント周囲粘膜炎は痛みや動揺を伴わないケースが多いですが、インプラント周囲炎では膿や動揺といったより重篤な症状が現れます。ただし、どちらも自覚症状が乏しい段階から進行することがあるため、症状の有無にかかわらず定期検診を受けることが重要です。
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の原因とリスク
歯垢の蓄積
インプラント周囲粘膜炎・周囲炎ともに主な原因は歯垢の蓄積です。口腔内の細菌がインプラント周囲溝に蓄積し、バイオフィルムを形成することで炎症反応が引き起こされます。
喫煙
喫煙はインプラント周囲炎の重大なリスク因子です。タバコに含まれる有害物質は口腔内の免疫機能を低下させ、血流を悪化させることで組織の治癒力を大きく低下させます
糖尿病
糖尿病はインプラント周囲炎を含む口腔感染症全般のリスク因子です。血糖コントロールが不良な状態では、白血球の機能が低下して感染への抵抗力が弱まり、炎症が進行しやすくなります。
歯周病の既往
インプラント治療前に歯周病を経験している患者さんは、そうでない患者さんに比べてインプラント周囲炎を発症するリスクが高くなります。歯周病の既往がある方がインプラント治療を受ける場合は、治療前に歯周病を治療したうえでインプラント治療を行うこと、治療後も歯周病のメンテナンスを継続することが不可欠です。
過度な咬合力
インプラントに過度な咬合力が繰り返しかかると、インプラント周囲の骨に機械的な負荷が集中し、骨吸収が進行しやすくなります。歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、インプラント周囲炎のリスクが高まるだけでなく、インプラント体や補綴物の破損リスクも増大します。
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の治療法
インプラント周囲粘膜炎の治療
インプラント周囲粘膜炎の治療は、炎症の原因である歯垢・歯石の除去が中心となります。歯科医院でのクリーニングによってインプラント周囲の歯垢・歯石を除去するとともに、セルフケア指導を受け、自宅でのケア方法を改善することが大切です。
インプラント周囲炎の治療
インプラント周囲炎の治療は、まずはクリーニングによる歯垢・歯石の除去、殺菌作用のある薬剤や抗生物質の投与などが行われます。非外科的治療で改善が見られない場合は、局所麻酔下でインプラント周囲の歯肉を切開・剥離し、清掃する処置が行われます。骨吸収が大きい場合は、骨の再生を促す骨再生療法が行われることもあります。
インプラントの撤去
インプラント周囲炎が重度に進行し、骨吸収が著しい・インプラントが動揺している・治療を繰り返しても改善しないといった状況では、インプラントの撤去が選択されることがあります。
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の予防法
毎日の丁寧なセルフケア
インプラント周囲粘膜炎・周囲炎を予防するために大切なことは、日々のセルフケアです。歯ブラシによるブラッシングはもちろん、歯間ブラシ・デンタルフロスも使って口内を清潔に保つことが重要です。
定期的なメンテナンス
定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることは、インプラント周囲炎の予防においてとても重要です。インプラント周囲の状態が安定している場合でも、3〜6か月に1回は定期検診を受けましょう。
禁煙・節煙
喫煙はインプラント周囲炎をはじめとした口内トラブルを予防するために欠かせません。禁煙が難しい場合でも節煙に努め、定期検診の頻度を高めて早期に炎症を発見できるようにしておきましょう。
まとめ
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎は、どちらもインプラント周囲に生じる炎症性疾患ですが、炎症の範囲・可逆性・治療の難易度において大きな違いがあります。
予防の基本は毎日の丁寧なセルフケアと定期的なメンテナンスであり、早期発見・早期対処がとても重要です。
当院のインプラント治療について、詳しくは下記ページもご確認ください。
医療法人社団よしだ・ファミリー・歯科:https://www.theha.com/
〒211-0025 神奈川県川崎市中原区木月1-27-12 近藤ビル2F
電話:044-433-3088
交通アクセス
電車でお越しの方:東急東横線元住吉駅西口より徒歩3分

